4歳からピアノを習い始める
きっかけは近所の憧れのお姉さんがピアノを弾いていたのがとても素敵で、胸ときめき、「私もお姉さんになったらピアノを弾くんだ」と思っていた。暇さえあればピアノを弾く真似をしていたので、両親が見かねてピアノを習わせてくれた。
高校は音楽中心の生活
高校は進学校だったので迷いながらも「ピアノ」のレッスンを続け、吹奏楽部にも入部して打楽器担当となる。毎年県代表、関東代表になる伝統ある部活で、上下関係も練習も厳しく体育会系のようだった。当時は吹奏楽でオーケストラ作品やオペラの序曲の編曲物が流行っており、オーケストラやオペラへの興味が湧いてきた。高校2年、3年で関東代表として全国大会に出場。日本人作曲家のモデル演奏をする機会も多く、直接作曲家とお話しする機会もあり、音楽への情熱はますます高まり、「学校の先生になって吹奏楽部の指導もしたい!」と思って国立音楽大学教育音楽I類を受験し、合格。
迷い、迷った大学生活
無我夢中で受験勉強をして大学に入ったが、「どうしたらもっと魅力的な演奏が出来るのだろう?」という疑問がいつも頭にあった。自分の演奏、そして将来吹奏楽部の指導をするためにも「答え」を見つけたかった。
図書館にある本を読み漁り、学外に作曲や編曲、指揮、打楽器も学ぶ生活を続ける。悩み続けるまま国立音楽大学を卒業。
「偶然の出会い」で生涯の”師”に出会う
大学卒業直後に友人の代役である合唱団の伴奏に出かけた。そこで指揮・指導をしていたのがオペラ指揮者セルジョ・ソッシィ氏だった。練習後にソッシィ氏から「コレペティトールという仕事を知っているか?ヨーロッパではオペラ制作、オペラ歌手の育成には欠かせない存在だが、日本にはまだ知られていない。」という話を聞く。「日本では知られていない」そして「イタリア人指揮者からたくさんのことを学べる」ことに魅力を感じて「コレペティトールになるための訓練」をお願いした。
カルチャーショックの連続!
ソッシィ氏のレッスンが始まるとビックリすることばかりだった。
音楽用語にしても、私が一生懸命受験のために覚えてきたことは、本来の意味とは違うことがたくさん発覚!!
例えば「rit.」は「ritardando」の略だと教わってきたが、実は「ritenuto」の略だったことを楽譜で説明されてビックリしたり、納得したり!
「ritardando」も「rallentando」も「次第に遅く」と覚えてきたが、2つの単語の意味は違うことにもショックを受けた。他にもたくさん、たくさん、、、。
大学を卒業するまで「あなたは考えすぎだ。考えずに感じたように演奏しなさい。」と言われ続けた私だったが、ソッシィ氏から「演奏する時は、なぜそう演奏するのか、なぜその速度なのか、なぜその音色を選んだのかを説明出来なくてはならない。」と言われた時には驚いた。そしてソッシィ氏の説明は明解で、私が永年「どうやったらもっと魅力的な演奏ができるのか?」という悩みを解決するものだった。
どうしても「魅力的な演奏を作るメカニズム」を習得したくて、ソッシィ氏が亡くなるまでの30年弱の間ソッシィ氏のもとで学び、アシスタントをつとめた。
本物に出会う
ソッシィ氏の奥様トミコ・ソッシィ氏はヨーロッパの国際コンクール優勝や歌劇場で主役をつとめたソプラノで、私は運良くトミコ・ソッシィ氏のリサイタルで伴奏する機会を得た。他にもウィーン国立歌劇場、ミュンヘン歌劇場、ミラノ・スカラ座等のソリストの来日コンサートや公開レッスンで伴奏。
ソッシィ氏から学んだ「魅力的な演奏を作るメカニズム」を世界の一流歌手も学び、実践していることを目の当たりにした。
1996年~1998年「Japan Tune」のウィーン公演では企画から参加し、編曲、出演。
1999年からはTokyo Play Opera Masterclass in Europeに参加してイタリア、スペイン、スロヴェニアでオペラ公演、演奏会に出演。
ヨーロッパに行くまでは自分が日本人であることはハンディなのではと思っていたが、ヨーロッパの歌手やオーケストラと共演してみて「正しい知識、訓練、実践、経験があれば、日本人であることはハンディではない」と実感した。
そして今・・・
●「魅力ある演奏が出来ないのは才能が無いためか?」と思っていたのは私だけでは無い。それならば私が学んだことが多くの人に役立つはずだ。
●小さい頃から「正しい指導」を受けていれば、「音楽」をもっと楽しめるはずだ。
●「世界を舞台にして活躍したい」という志を持つ若い人には、欧米に出る前に「ヨーロッパで伝統的に行われている音楽教育の基礎」を伝えるのが私の使命。
・・・そんな思いが強くなり、「オペラ歌手」「伴奏者」「コレペティトール」そして「ピアノ」「ソルフェージュ」の指導を行っている。
その他に、コンサート企画、コンサートの出演もしている。
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